HELL’S逗子

otodama2013

先週からの猛暑で、もはや東南アジアに遊びに行く必要がないんじゃないかと思っている。

東京の街の空気が東京のものではなく、まるで台北や香港のようだ。

いつもと変わらない日常のはずなのに浮足立つのは、まるで旅行でアジアのどこかの国に来たような気になっているからかもしれない。

僕たちが学生だった10年前とは明らかに夏の空気は変わったと思う。

友達と行った夕方の区民プールや盆踊り大会の夜や、銭湯の帰り道の空気とは違っているはずだ。

一人暮らしの友達の家に泊まって、近くのコンビニまで話しながら歩いた夜や、門をよじ登って学校のグラウンドでサッカーをした夜、知らない街の花火大会に行って最終バスで帰る夜と、今の夜は空気が違う。

しかし僕はこの亜熱帯な雰囲気のほうも好きだし、夏も春と秋との違いを本気で際立たせているオリジナルスタイルで臨んでいる気がする。

下品な嬌声を叫ぶサラリーマンも、前髪をイジりながら女の子の尻を撫でる大学生も、イライラしながらクラクションを鳴らすタクシードライバーも、ムッとする温度をさらに上昇させることに一役買っている。

温水プールのような東京の街を、なるべく愉快に泳げたらいいと思っている。

明日の予定より今日の予感が誘う方に泳いでいけたらいいと思っている。

 

クーラーボックスにおにぎりと冷凍したバナナと蒟蒻ゼリーと、そしてお酒と大量の保冷剤を入れて、横須賀線に乗って逗子に行った。

白いシャツを着て、キタキマユのDo you remember me?を口ずさみながらビーチに到着して驚いた。

見事に下品な人間しかいない。

刺青、叫び声、手を叩く音、怒鳴り声、甲高い笑い声、そして捨てられたゴミ、ゴミ、ゴミ。

巨大で不潔な宇宙人の毛じらみだらけの陰毛を拡大して観察してみたら、おそらく同じような景色が見えるだろう。

白いシャツ着て、白ワインを持ってハッピーバカンス気分で来ちゃったのが猛烈に恥ずかしくなった。

北斗の拳ですぐに死ぬような脇役雑魚キャラみたいな悪人面の見切り品人間が大学生くらいの子を恐喝していたので、走って警察を呼びに行ったら「本官が行かなくちゃいけないんですかねぇ~?本当に本官がぁ?」という対応だったので、心底呆れた。

ライフセーバー事務所のすぐ脇で恐喝が起きているのに、ライフセーバー達は双眼鏡で海を見るのに忙しいみたいなので、我関せずだった。

せっかくなので、隣にいた普段は絶対に関わることがないエンポリオアルマーニのSサイズの黒いTシャツを着ている19歳の子達と少し話した。

みんないいコ達だった。

「俺のエンポリオがビショビショになってんじゃねぇかよ!」と海に怒っていた。

海辺のライブハウスで行われたDE DE MOUSEのLIVEとDAISHI DANCEのDJ SETは最高だった。

浦浜アリサさんがMTVに出たての頃とは見違えるほど美しい女性になっていて驚いた。

肉体的な音楽に批評はいらないので、夜まで浮ついた。

結局、とても楽しい小旅行だったんだけど、逗子のビーチには金輪際二度と行かない。

歯並びが悪い男が女性のビキニの下を脱がして、女性の秘部がまるっと出ちゃっているのを見て吐き気がした。

女性の体はこの世で最も好きなものの一つだけど、そういうロマンチックじゃない下品なノリは大嫌いだ。

そんなとこに行った僕が悪いんだけどね。

東京から出て行くなら、伊豆の先端まで行ったほうがいいかもしれない。

 

 

 

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ハヤブサマガジン 2005年10月活動開始。 フリーマガジン「ハヤブサマガジン」を日本全国のフットサルコート、スポーツバーなどに配布。 vol.7をもって活動停止。2013年、ウェブマガジンとして活動再開。ブログは日常の話です。