アメリカ南部のチカーノギャングスタラッパーでさえカルチョ・フィオレンティノの映像を観たら、「これはサグ過ぎるだろ」と頭を抱えることでしょう。
『カルチョ・フィオレンティノ』とは四方に囲まれた巨大な砂場で27人vs27人でボールを奪い合い、指定された場所にボール入れることで得点となる、現代サッカーの礎となったとされるスポーツです。ルールは頭突き、パンチ、肘撃、首締めがOKで、不意打ちや頭部への蹴りは禁止されているという、極めて「何でもあり」のスポーツです。
訴訟社会になったルールだらけの現代において、ここまで何でもありなスポーツは世界広しと言えどおそらくカルチョ・フィオレンティノだけでしょう。
しかもフィレンツェ公認の伝統行事で、フィレンツェの野郎達は1500年代からこんな狂ったスポーツをやっているのだから驚きです。主審が1人、線審が6人、フィールドマスターが1人いて、それぞれの試合は50分間行われ、最も多い点を得たチームが勝者となります。
カルチョ・フィオレンティノはサンタ・クローチェ広場で毎年6月に開催され、イタリアではTVで生放送されています。
4つの地域チームが出場し、決勝はフィレンツェの守護聖人である聖ジョヴァンニの日に開催されます。
カルチョ・フィオレンティノのハードコアっぷりがわかる動画をご覧ください。
この試合は2014年のRossi vs Verdi戦です。
カルチョ・フィオレンティノの動画を観て発見したこと
①ファイティングポーズをしていない相手とは戦わない
②倒れた相手には比較的手を出さない(その代わりに砂を足でかけることが多い)
③当然のことながらストリートファイトかキックボクシングかボクシングの経験者がほとんど
④伝統行事だけど見るからにギャングっぽい奴が多い
⑤たまに敵と普通に話している
⑥マウスピースを付けない美学の奴が多数
⑦審判が超重要
⑧ここまで地元チームを応援してしまうスポーツはない
このスポーツの発祥はローマ時代に軍人が戦いの間に、体力を落とさないために考案されたと言われています。
1527年、ローマ軍攻略され、皇帝軍は1529年の夏から1530年にかけてフィレンツェを包囲します。
皇帝軍からフィレンツェを守ろうと市民達は結束し、食糧不足の気配がある中でも、カルチョ・フィオレンティノを開催しました。フィレンツェ人の気合いと士気を皇帝軍に見せつける為に開催されたと言われています。
市民は、その頃の感情を城壁に「貧しいけれど、自由である」と書き残したという記録が残っています。
参考:フィレンツェの歴史行事 フィレンツェの行事:古代サッカー古代サッカーゲーム ”CALCIO IN COSTUME”