世界でも最も成功したキャッチコピー/スローガンの一つ、NIKEの『Just Do It』。
「ゴチャゴチャ言ってないでやれよ!」というニュアンスのシンプルかつ力強いこの言葉は、国境を越えて人々の心をとらえました。この言葉を発案したのは広告会社のワイデン+ケネディ。
2015年2月に南アフリカのケープタウンで開催されたDesign Indaba conferenceのインタビューにて、ワイデン+ケネディの共同設立者のDan Wiedanが「”Just Do It”はNIKEとワイデン+ケネディのホームタウンであるポートランドで育った殺人者ゲイリーギルモアが残した最後の言葉からヒントを得た」とコメントしました。
ゲイリーギルモアは強盗・殺人の罪で1977年に処刑された元死刑囚。
彼は当時、死刑の廃止の潮流にあった中で「死刑にされる権利」を州知事に要求し、死の判決を権利とする彼は、州(国家)と争いを起こし、一躍世界で最も有名な殺人者となりました。
家族や死刑廃止団体が最後まで説得したものの、ギルモアは嘲笑し聞く耳を持たず、最終的には権利を勝ち取りました。
1977年1月17日、本人の希望どおりに複数の銃撃者により処刑されました。
ギルモアは死刑執行の直前に「Let’s do it!」(さあ、やろうぜ!)と言って執行人たちをいらつかせたというエピソードが残っています。
この「Let’s do it!」という言葉に着想を得て、”Just Do It”が生まれたとDan Wiedanはインタビューでコメントしました。
初めて”Just Do It”というキャッチコピーが使用されたコマーシャル動画です。
ちなみにギルモアの末弟マイケルは、音楽ライターとなり、自身の一族の物語『心臓を貫かれて』を発表し、この本は村上春樹訳で日本でも発売されています。
また、マイケル・ギルモアはじめ他の兄弟は一族の血を後世に残さないために子供を作りませんでした。
ソース:Nike’s “Just Do It” Slogan was Inspired by a Murderer’s Last Words