ピョンさんの祝日

仲間の平野君が結婚した。

まわりからは平野君、ヒラさん、ヘイさん、ペイさんと言われているが、僕はピョンさんと呼んでいる。

もちろん北朝鮮の首都である平壌のピョンだ。

「オデ、ソドでケツこん式やりてぇんだ」と入間弁まる出しで宣言した通り、ピョンさんは素晴らしい快晴のもと野外でウェディングパーティーが開催された。

ピョンさんは友達カースト制度を採用していて、友達を1軍と2軍に分けるという400年くらい古いタイプの人間だ。

2軍に属している僕はピョンさんからたまに「お前、ヘソの中に紛れ込んだ小蠅みたいなツラしてんな」とか言われるけど、2軍だから「へへへ、こりゃ厳しいや」と卑屈に笑うしかない。

それでもいいんだ。

愛情や友情にはいろんな形があるんだ。

頼むから否定しないでくれよ。

誰かに否定されるとプライドが傷ついてマンホールの中に逃げ込みたくなるんだ。

僕の心は型抜きみたいに繊細なんだ。

 

ピョンさんの結婚式と披露宴にはたくさんの人が集まった。

天候も素晴らしく、吹いてくる風も調子良くて気分上々↑↑(mihimaru GT)だった。

昔馴染みも集まった。

永遠のMABダチers[[[+DIME]]]のオリジナルメンバーがみんな集まった。

僕ら2軍は迷惑をかけないように静かに手を叩きながら心の中で祝福をしていた。

披露宴の途中で突然、ピョンさんとの想い出を話す人をピョンさんが選んで、即興でカマすという大喜利が開催された。

心の中で「ここは僕を起用するしかないだろう」と念じていたら、それに察したマサキのはからいで選ばれた。

大人なので、礼儀として「いえいえ僕なんか」という雰囲気を一回出しておいた。

僕はジョン・レノンや野島伸司先生を超えるべく「愛とは何か」について力説した。

親族の皆さんはじめ、前列にいた美人なチャンネー達も涙ぐんでいたに違いない。

僕は話している間、ピョンさんの幸せを願いながら、チャンネー達からの好感度が上がればいいなと思っていた。

ちょっと確認はしていないけれど、きっと好感度は上がったことだろう。

横目でピョンさんと目が合った時に「それ以上余計なこと喋んなよ」って目をしていたので、僕は粛々と(©イソラップ)スピーチを終えた。

 

次のパーティーまでの待ち時間、鵜原達が近くの焼き鳥屋で呑んでるつって顔出しに行ったら、12年ぶりの人に遭遇した。

その人は昔も今もこれからも僕にとって目上の方だと崇めている師匠的な人だった。

そんな人は僕の中では父親とその人しかいない。

他の男は有名だろがなんだろうが僕とイーブンだ。

僕は12年越しで話したかったことと謝りたかったことを一気に喋った。

奇跡的な遭遇に泣いたよ。

久しぶりに人前で泣いたよ。

とにかく、謝りたかったことを謝れて、スッキリした。

その人に今の僕はどう見えたのだろうか。

「変わらないな」って言ってくれたけど、それが僕にとって変りたくない部分ことだったらいいなと思った。

 

話はバックアゲインしてピョンさんのパーティー。

さらに2軍中の2軍、プロの2軍達が加わって景気良くなった。

みんなでカンパして良いテキーラを買って、鵜原達が景気良く振る舞っていた。

僕は音楽流していたけど、リハの時点で音量の件で怒られた。

いつものことだ。

ピョンさんと奥さんも楽しそうで良かった。

マジな話、このパーティーで僕がピョンさんのアナルに中指を突っ込んで、その中指の匂いを来賓者みんなで嗅ぐけど、絶対にリアクションをとっちゃダメっていう企画をやろうと思っていた。

これは婚姻の儀としてケルト神話に記されている由緒正しい伝統文化だ。

嘘だけど。

「お前、気が触れてんだろ」とGKに一蹴されて、あえなく却下になった。

ただこれだけ言っておきたいのはピョンの野郎にこの案を話したら、「やれるもんならやってみろ」的なことをラインで言ってきたから、僕もカッとなって「上等だてめぇ、今日から1週間アナル洗うなよコラ」って送信してやったんだ。

そういう話。

 

本当は最後に「ピョンさんが好きなのは奥さんとサッカーと、そしてJ-POPだ!」って僕がシャウトして、案の定シーンとなったタイミングで東京カランコロンの「J-POPって素敵ね」をかけて、みんなで「J-POPって素敵ね」「ピョンさんって素敵ね」「結婚って素敵ね」ってシンガロングしたかったんだけど、進行上の理由か僕の不穏さかわからないけどNGだったのが残念。

ピョンさんは最後に幹事やっていたGKとマサキの前で熱い男泣きしたらしいけど、それはみんなの前で見せろよって言いたい。

 

いつも通り酔っぱらって、新宿で呑んでたらアキラもやってきた。

「みんなきれーな服きてるけどどったの?」だって。

まいっちゃうよ。

ピョンさんは僕らが楽しんでくれたらそれでOKって思ってるかもしれないけど、僕らからするとピョンさんが楽しんでくれて喜んでくれたらそれでOKだって話だよ。

友達ってそういうことだから。
くだらないことで笑わし合って、笑い合って、そんな日々がずっと続けばいいと思う。

僕達は気高く、見事にくだらない。

ピョンさん、いやペイさん。

結婚おめでとう。

この文の本当のタイトルは「僕とピョンさんと、時々アナル」だけど、祝い事だから自重します。

 

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ハヤブサマガジン 2005年10月活動開始。 フリーマガジン「ハヤブサマガジン」を日本全国のフットサルコート、スポーツバーなどに配布。 vol.7をもって活動停止。2013年、ウェブマガジンとして活動再開。ブログは日常の話です。