ファンキー

先日、Gとマサキと3人で泊りで銚子にいた。

話に聞いていたとおり、夜の7時を過ぎると飲食店が閉まり、大通りでも人を見かけなくなった。

ホテルに戻っている暗がりの帰り道。

なんとなく鬱っぽい気分になり、これからかなりの確率で起きる社会問題について僕がネチネチと話していると、ラジオからルイ・アームストロングの『WHAT A WONDERFUL WORLD』が流れてきた。

「この世界はなんて素晴らしいんだろうと そう、本当に思うね なんて素晴らしいんだろう、この世界は」

これが映画なら、このまま3人で自殺して物語が終わり、エンドロールが流れてくるような感じだ。

悲観的でシニカルな世代らしく世界に対して途方に暮れた刹那、マサキが酒を奢ってくれると言い出し「イエ~イ!盛り上がっていきましょ!」とさっきまでの不幸感を見事に忘れた。

その瞬間だけ言えば、マサキはこの灰色の世界を救ったことになる。

世界中のあちこちに隣人の心の靄を晴らす名も無きローカルヒーローがいる。

きっとあなたもそんなヒーローの一人だろう。

まるでファンキー加藤のようなことを言ってしまった。

まさか銚子の暗い通りからファンキー加藤が出した答えにたどり着くとは。

アプローチ違えど到着点が同じだったパターンのやつだ。

ヒーローマサキは乾杯した5分後に寝た。

 

 

翌日、東京に帰る日。

電車に乗る前にラーメンを食べようということになり、30分くらいかけて検索しまくった。

検索していると「銚子と言えばここ!地元の人が通う名店」とレビューが書かれた店を見つけたので行ってみた。

店の前に着くとレビューで書かれてあるように列ができていたので早速並んでみた。

後ろに並ぶおばちゃんと話していると「ここは本当に美味しいよ」と言ってきて、さらにその娘さんも「いつも並んでるんですよ」と言うので期待に胸を膨らませた。

僕らの番になり、テーブルに出されたラーメンを一口。

マサキと目を合わせうなずいた。

超マズイのだ。

マサキなんてマズ過ぎて笑いが止まらなくなってしまった。

しかし、これもまた旅の醍醐味だ。

それにしてもレビューは鵜呑みにするなという良い教訓になった。

 

 

先日、毎年恒例の鳥越祭りで担がせてもらった。

今年も観光客の中に可愛い女の子がたくさんいて最高だった。

誘ってくれた鵜原ともそろそろ10年目の付き合いになるようだ。

ちゃんと数えたことないからよくわかんないけど。

僕にとっては近所の一個下のコって感じでイジるとこが山ほどあるユニークでチャーミングな男なのに、まだみんな彼に変な気を回している節がある。

全く面倒くさくないし、全然神経質じゃないのに、あまり交流がない人は彼にそういうイメージを持っているようだ。

むしろ僕の方が100倍面倒だし神経質なのに。

見た目がスマートでスタイリッシュなので勘違いされやすいけれど、彼は来る者拒まずの、相手の技は全部受けるストロングスタイルの男なのだ。

この前なんて膝かっくんしたら、ハットを抑えてマイケルジャクソンみたいなポーズを決めた。

膝かっくんを受けて、そんなオシャレなことできる奴は他にいない。

友達の中では価値観が対極の鵜原と僕が友達になり同じモノを見て笑っているのも、アプローチ違えど到着点が同じだったパターンのやつだ。

これからはファンキー鵜原と呼ぶことにしよう。

以前、「蓮舫さん」というあだ名で呼んでいたら、なぜか本当に嫌がっていた。

チャーミングな奴だ。

About hayabusa 112 Articles
ハヤブサマガジン 2005年10月活動開始。 フリーマガジン「ハヤブサマガジン」を日本全国のフットサルコート、スポーツバーなどに配布。 vol.7をもって活動停止。2013年、ウェブマガジンとして活動再開。ブログは日常の話です。