苦手

友人に誰かを紹介されるのがとても苦手だ。
僕のことを説明する時に良く言ってくれた時など逃げ出したくなる。
それはとてもありがたいことなのだけど、勘弁してくださいと俯いてしまう。

できることなら「どこにでもいるアンちゃんだよ。」と紹介されたい。
もしくは「酒ばっか飲んで女好きで口が悪くて皮肉ばっか言う性格が悪い野郎だよ。」などと紹介されたい。
それが本当の僕だ。

本当の話をすれば、誰もガッカリすることはないので、とても安心できる。
会話の中でブス・バカ・安い・死ねばいい・退屈・偽物・嘘くさいなどのワードが連発してしまう僕が、何かの間違いで「優しい」などと評された日には何を話していいかとパニックになってしまう。
僕の中での「優しい」とその人の中での「優しい」がまとまる君とゾイドくらい違うからだ。
僕はその人の「優しい」を知らないから、迷ったあげく職務質問する警官みたいな態度をとってしまう。

できればマイナスからスタートさせていただきたい。
そうすればあとはプラスしかないから楽しめる。

初めて会った友達の彼女や知人に対して笑えないブラックジョークを言ってしまう癖がある。
もちろん僕としては面白いジョークなんだけど、相手はそんなもの面白いわけないんだから「思想が変わっていますね」「個性的な考えですね。」と気を使われて苦笑いされて終わってしまう。
「個性」なんて言葉は田舎者相手にしている女性ファッション雑誌の中だけで使われている超恥ずかしい言葉だ。
「個性的」=「何の価値もない退屈なカメムシ」と僕の中では完全に出来上がっているので、とても落ち込んでしまうのだ。
ましてや思想なんてそんな立派なものあるわけないよ。

僕はただ笑ってほしかっただけなんだけど、距離感と言葉選びを間違えてしまう。
僕のことなんて忘れてもらってかまわないけど、この2時間だけは笑って過ごそうぜってただそう思うだけなんだ。

「そういうこと言うのはやめろ。」と誰かが言ったら、その時点でブラックジョークはただの悪口になってしまう。
イジってイジられて生まれてくる爆発的な笑いが、「そんなこと言ったらかわいそう。」と善意溢れるありがたいお言葉のせいでかき消さる。
もったいないけれど、仕方がないかなって思うんだ。
「受け手に求めるな」は全てにおいてに基本中の基本だ。
僕が馴染みの連中と話していたら、友達の野村さんが「おい金玉ども。」ってやってきた時、僕らは大笑いしたけど初対面の女の子が真顔だったことを思い出したよ。

3、4年ぶりに横浜から鎌倉まで友達と歩いた。
前に夜中に酒呑みながら歩いた時は土屋や踊り場ソウルの鍵盤担当のハッシーもいた。
今回は朝に集合して夕方前に海に到着した。

一日中あれやこれやと話詰めた。
話したいことが脊髄あたりから溢れてくる。
夜の海辺は寒いから酒呑みながら肩寄せあって笑い話をしたんだ。

八幡宮でお祈りした。
願うことは「みんなまとめて幸せにならせろ。」ってそれだけだ。

きっと全てはうまくいくって感じている。
初対面の人に漏れなく嫌われる僕が言うと説得力ないけどね。

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ハヤブサマガジン 2005年10月活動開始。 フリーマガジン「ハヤブサマガジン」を日本全国のフットサルコート、スポーツバーなどに配布。 vol.7をもって活動停止。2013年、ウェブマガジンとして活動再開。ブログは日常の話です。