10億円が手に入ったとしたら、好きなだけ世界中を旅行できること以外は特に何も変わらなかった。
釣り用の船も欲しいけど、実際はメンテナンスが面倒臭いからその都度借りたほうが気軽だし、高級車も泥道や山道に行くのには不必要だ。
カーナビも動物的な感覚を失うからいらない。
時計もアクセサリーも付けないからいらない。
どうしても欲しい服もないし、どうしても欲しい不動産もない。
スーパーの安売りに一喜一憂する日常にも満足しているし、長い帰り道も考え事にはちょうど良い。
僕はまだ若いので今日って日が笑えたら、明日もきっと笑えるのだと今は思っている。
アイムスティルヤング。
ヤングD。
多くの若者がそうであるように、金で買えるものはけっこう持っていないけど、金で買えないモノなら大抵持っている。
言っちゃうと例えばラブ、そして喜怒哀楽。
今日も財布の中には40円しか入ってないからGKから借りてコンビニでビールを買う。
幼稚な大人ばっかりだから、大人と若者の境なんてないよって話。
そういうことで僕はまだ若いので、この平凡で平穏な日常に満足している。
箸が転んでもおもしろい年頃だ。
箸が転んでもおもしろい年頃が7年くらい続いている。
長年続く躁状態からいつ急降下するか見物だ。
全ての物事は気が付かないうちに変わってゆくけど、なるべくこのなんてことない日々が続けばいいと願っている。
SNSに投稿することも特にないけれど、そこらへんを歩いて、誰かと話して、あれやこれやと考えて書いて、怪談にビビって、アクション映画に興奮して、可愛い女の子に振り返ってしまうような日々だ。
派手なことは別の友達にまかせた。
いつか僕も過去に8億人くらいが言ってきたような何の意味もない無価値な訓示を得意気な顔で若者の言うような退屈な年寄りになってしまうかと思うとゾっとする。
その前には死んでいる予定だ。
僕の中でいつだってホットトピックは弟のことだ。
下手打ってトラブルを抱えこまないかいつも心配している。
最近は勉強も部活も頑張っているけれど、眉毛が細いのにイラついている。
いっそのこと寝ている時に全剃りしてやろうかと思う。
17歳の自意識は大抵おかしな方向に向いてしまうものだから仕方ないけれど、僕は眉毛をいじる男が嫌いなんだ。
「戦国時代に眉毛いじる武将なんて絶対いなかったはずだぞ!」って言ったら、「いや、今平成だし。」だって。
まいったよ。
その通りじゃないか。
おそらく弟が30歳になっても僕は服装とか言葉使いに対して文句言っているだろう。
2013年は考え事ばかりしていて全くアクティブじゃなかった。
アクティビストなんて恥ずかしくて名乗れない。
そこらじゅうを歩いていたけれど、自然でのアドヴェンチャーが全く足りなかったことに自分自身に怒りを感じている。
残り時間は刻一刻と減っているのだから、死ぬまでやることリストを一つずつやっつけなくてはいけない。
今シーズンは北海道を例年とは違う感じで攻めるってGKが言ってた。