先住民-その土地の「最初の住民」。
現在においても確認されているだけで5大陸の70カ国以上の国々に5,000以上の先住民族が存在し、住民の数は3億7,000万人とされています。
多くの先住民族は政策決定プロセスから除外され、ぎりぎりの生活を強いられ、搾取され、社会に強制的に同化させられてきました。
また歴史的には自分の権利を主張すると後から入ってきた大多数に弾圧、拷問、殺害の対象となるという悲劇が数多く起きました。
現在でも、彼らは迫害を恐れてしばしば難民となり、時には自己のアイデンティティを隠し、言語や伝統的な慣習を捨てなければならないということが続いています。
マイノリティである先住民族は「世界」に飲み込まれ、確実にその数は減っています。
写真家のジミー・ネルソンは「彼が滅びる前に(Before They Pass Away)」というタイトルの写真作品シリーズを発表しました。
ジミーは約3年間かけて世界中の部族や先住民族、約35以上のグループを訪問して彼らの文化や生活を取材ました。
各部族の儀式、習慣、そして伝統に見え隠れする彼らが長年貫く美意識にジミーは感銘を受けたとコメントしています。
私達の目から見たら彼らは貧しいかもしれませんが、彼らから見たら話題のニュース、トレンドや芸能人のゴシップを毎日追いかけることが生活習慣の私達こそ貧しく可愛そうな存在だと言えるでしょう。
ジミーは3年間かけて多くの部族を尋ねた結果、「彼らは皆、莫大な富と名誉を持っている」ということを知り、彼らが滅びる(滅亡させられる)前に、彼らの誇り高いその姿を写真の残そうと決意しました。「彼らは皆、莫大な富と名誉を持っている」、この言葉の意味を知ることが我々現代人には必要かもしれません。
資本と競争力こそが価値のこの世界では、彼らのオリジナリティ、仲間同士の絆、誇り高い歴史と伝統は無碍に踏みつぶされていくばかりです。
オリジナルで優れたモノゴトは、センスのない凡人に叩かれ、退屈になってゆく。
誰かが残したそんな言葉を思い出しました。
大多数を正義とし、尊い希少文化を滅ぼしながら、この世界はどこに向かい、何を作り出そうとしているのでしょうか。