2011年3月11日に発生した東日本大震災から4年が経ちます。
まだ4年しか経っていないような、もう4年も経ったような、あの日のことを思い出すと月日の流れを感じることができます。
被災者ではない多くの人達は東北震災のことが過去のことになり、ごくたまに思い出すだけになってしまっているのが実情かもしれません。
しかし、3月11日に近くなってくるとあの日の出来事が鮮明に脳裏に蘇ってくるのではないでしょうか。
地震、津波、原発事故の大きなダメージ、そしてそれに立ち向かう人達。
3月11日になると毎年震災に関する記事を書いていますが、今年は震災の脅威に関してではなく、東北震災に対して世界中からどのようなサポートを受けたのか、そして人々がどのように支援したのかについてまとめてみます。
3.11以降に生きる私達は震災の怖さ、震災で傷ついた人達の痛みと同じように、震災で知った人々の優しさや強さも忘れずに生きていくべきなのではないでしょうか。「日本がんばれ!」と国外から想像を超える義捐金や救援金が贈られてきました。
3月11日震災直後にゲーツ米国防長官が「あらゆる支援を行う準備がある」と声明を発表、翌12日午前0時15分、オバマ大統領が菅首相との電話会談で「米国として日本に対する可能なあらゆる支援を行う用意がある」とコメントと、アメリカが超スピードで支援を発表したことを皮切りに世界中から義捐金と救援金の寄付が寄せられました。
2015年3月時点の国外からの寄付金総額は正確には発表されていませんが、2013年に朝日新聞がまとめたところ、海外から日本赤十字社への義援金(全額配分基準に従って被災者に届けられる寄付金)の上位20カ国は以下のようになっています。
◎総額約227億円!海外から日本赤十字社への義援金 上位20カ国
1位:米国 29.9億円
2位:台湾 29.2億円
3位:タイ 20.5億円
4位:オマーン 10.7億円
5位:中国 9.1億円
6位:アルジェリア 8.3億円
7位:英国 7.8億円
8位:ベトナム 7.8億円
9位:香港 7.2億円
10位:フランス 6.1億円
11位:スイス 5.5億円
12位:マレーシア 5.1億円
13位:インド 4.8億円
14位:ブラジル 4.8億円
15位:パプアニューギニア 3.2億円
16位:シンガポール 3.1億円
17位:オーストラリア 3.0億円
18位:モンゴル 2.9億円
19位:フィリピン 2.9億円
20位:イタリア 2.7億円
全体では179の国・地域から寄付金が寄せられ、総額は約227億円に上りました。
また、GDPが低い国からの支援も大きな話題になりました。
◎総額は約597億円!海外から日赤への救援金受付済み額の各国上位20団体
※平成25年2月28日速報値
※救援金とは世界各国の赤十字社・赤新月社を通じて被災国の赤十字に寄せられる寄付金です。救援金は被災者支援活動や生活再建に役立つ支援に使われます。
1位:アメリカ赤十字社 230億円
2位:台湾赤十字組織 67億円
3位:カナダ赤十字社 40億円
4位:ドイツ赤十字社 33億円
5位:大韓赤十字社 29億円
6位:オーストラリア赤十字社 21億円
7位:スイス赤十字社 19億円
8位:フランス赤十字社 18億円
9位:イギリス赤十字社 18億円
10位:香港支部 16億円
11位:欧州委員会人道援助局 9.4億円
12位:中国紅十字会 9億円
13位:オランダ赤十字社 7.5億円
14位:タイ赤十字社 7.4億円
15位:シンガポール赤十字社 6.5億円
16位:ベトナム赤十字社 6億円
17位:スペイン赤十字社 4億円
18位:ハワイ日米協会 2.3億円
19位:セルビア赤十字社 1.9億円
20位:マレーシア赤新月社 1.7億円
救援金の総額は約597億円にも上りました。
上記の義捐金や救援金の他にも、海外から様々な募金団体や個人からの多額の寄付などがあり、日本赤十字社によると、世界各国の赤十字社を通じて海外救援金は1兆円を越したと発表(2015年2月28日現在)しました。
その他にもダイムラーAG、LVMH、ウォルト・ディズニー・カンパニー、ゼネラルモーターズなどの多くのグローバルカンパニーからも億単位の義捐金・救援金が寄せられ、海外からの寄付金総額は2兆円とも3兆円とも言われています。寄付金の他にも救援隊の申し入れは142の国と地域と39の国際機関からあり、物資として大量の食糧、生活用品、防寒品などが各国から送られてきました。
また、世界各国から自腹で東北に訪れボランティアに参加する外国人の多さにも被災地では驚かれていました。
外国人ボランティアに「なぜ手伝いに来たのか?」と問うと、その多くは「理屈じゃなくて、いても立ってもいられなかった」といった類のコメントを残しています。
日本国内でも多額の寄付金が集まりました。
NPO法人「パブリックリソースセンター」がまとめた調査では、1千万円以上寄付した企業は計280社、総額729億円に上りました。
日本経済新聞によると東日本大震災で被災した自治体や募金団体などに寄せられた義援金や寄付金が、少なくとも合計4400億円に上ることが民間調査で分かり、国民の4人に3人が寄付したということもアンケート調査で判明しました。
著名人・芸能人からの寄付も大きな話題になり、歌手の氷室京介さんの義援金総額は8億円超え、さらに新曲著作権料の寄付も表明したことや、SMAPメンバー5人が個人的に日本赤十字社を通じて総額4億円以上を寄付したことも話題になりました。災害ボランティアセンターで受け付けたボランティア活動者数は1,419,700人に及びました。※震災日から2015年1月31日までに岩手県・宮城県・福島県の被災地ボラティアセンターで活動した総数)
日本国内でこれだけの多額の義捐金・救援金が寄せられ、これだけ多くのボランティアが参加した背景には、地震、津波、原発事故の3重苦がテレビやネットで配信された映像によって直接的に伝わったということがあると考えられます。
また、世界から多額の義捐金・救援金が寄せられた背景には、日本がこれまでに多額の救援金を世界各国の被災地に寄付してきたということも考えられます。
このように東北大震災被災地には多大な善意と応援が様々な形で寄せられました。
しかし、世界銀行グループ (WB) が東日本大震災における被害総額を試算したところ、2350億ドル(約20兆円)となる見通しを明かしました。
これだけ多大な支援を受けながらも、なおお金が足りないことが被害の甚大さを物語っています。
震災は今なお続いていることが数字でもわかります。
もしも世界各国及び国内の支援がなければ、現状はもっと酷いことになっていたことでしょう。
世界は今も尚、争いや残酷な出来事が耐えません。
それにより人は人に対して幻滅し、思想や人種が違う人達を敵視してしまいがちです。
しかし、綺麗事ではなく現実に世界各国から、そして色々と意見が食い違う近くて遠い隣国からも多額の寄付金が送られてきたのです。
各国の政府からだけではなく、世界中の市民からの復興への願いも形となって東北に集まったのです。
そして、日本人達は一丸となって東北の為、日本の為に動いたのです。
3.11に負った大きな痛みとともに、人間の優しさと強さもまた忘れてはいけないのではないでしょうか。