「兄と森を散歩していると、生き物の死骸をよく見つけたの。
その度に、私と兄は幼心に『おそうしきをしてあげないと』と思って、虫や鳥やネズミの死骸のまわりに花を飾ってあげたわ」
そう語るのはロシア人女性フォトグラファーMARIA IONOVA-GRIBINAです。
彼女は大人になりフォトグラファーとして名前が売れ始めた頃、休日となると森の中を自転車でサイクリングしていました。
サイクリングの道中に生き物達の死骸を見つけ、彼女は兄と行った「おそうしき」を思い出しました。
彼女は幼い頃に持っていた純粋な気持ち、真摯に命に対して向き合っていた気持ちを表現する為「Natura Morta」という名の写真シリーズを発表しました。
Natura Mortaとは1970年代に作られた美術用語で「静物画」「死せる自然」という意味です。
美しい花々に囲まれた生き物達の死骸の中には何も入っていないことがはっきりとわかります。
『命はどこへ行くのだろう?』という誰もが幼い頃に抱いた疑問が再び頭をよぎります。
あの世も写真のように美しい花々に囲まれた世界なのでしょうか。