1980年代初頭に発覚した職員による収容患者への暴行・殺人事件「宇都宮病院事件」が精神病院で発生した事件としては日本では最も有名です。
1950年代~80年代にかけては日本だけでなく、世界中の先進国では私立精神科病院が乱立しました。
経済が発展してゆくと同時に、うつ病、統合失調症、不安障害などを患う人達が急増し、それに合わせて私立精神科病院の増えていったという背景があります。
病気の性質から閉鎖され外部からのコンタクトは難しく、それ故、中でどのような治療が行われているのか患者の家族や関係者がわからないという問題点がありました。
実際に、患者への暴力事件は報告されていないだけで、日本でも世界中でも数えきれないほど起きていたと言われています。
それは精神病患者の治療はとてもハードで綺麗事だけではすまされないというのも現実も物語っています。
写真家ジェレミー・ハリスは「アメリカの閉鎖病棟」と題し、アメリカで放棄された精神病院の写真作品シリーズを発表しました。
写真は東海岸からニューイングランドに点在する廃病院の中で撮影されました。
大きな病院では何千人もの精神病患者が収容されていたと言われています。
超高性能精密機械の脳と繊細でデリケートな心は、人によってはわずかな衝撃とキズで壊れてしまいます。
一度壊れたら、治すことはとても困難なことが、この写真から伝わってきます。
近年急増するうつ病や統合失調症にならない為、心が健康なうちから自分自身の胸の内と対話すべきなのではないでしょうか。