世界で最も有名なファンタジー作品の一つ、『不思議の国のアリス』の中にはハッとさせられる名台詞がたくさんあります。
「あなたは気が狂って、おかしくて、正気じゃないわ。ただ、あなたに秘密を教えてあげるわ。すばらしい人々ってのは実はみんなそうなのよ」
「昨日になんて戻れないわ。だって昨日の私は別人だもの」
「どこかに行きたいと望んでいるなら、その2倍は早く走らないといけないよ」
「全ての物事には教訓がある。あなたがもしそれを見つけられればね」
「なにはともあれ、トライすることに損害はない」
これらの台詞を嫌いな教頭先生や偉そうな上司に言われても全く胸に刺さりませんが、せっかちなウサギやド派手な猫に言われると、「ん~、たしかに」と深く肯いてしまうのがファンタジーの力です。
長らくの間、人々の間ではファンタジー映画が人気を誇り、毎年公開されるディズニーアニメは子どものみならず大人達も夢中になっています。
これだけ映画の世界ではファンタジーが人気なのに、写真の世界ではあまりファンタジーというジャンルで撮っている写真家がいないな~と思ったらちゃんといました。
ウクライナ出身の写真家、Oleg Opriscoです。
Olegはウクライナ西部の都市であるリヴィウの郊外に生まれ、16歳からカメラマンとして生計を立ててきました。
現在ウクライナの首都であるキエフを拠点に活動するOlegはドリーミーでどこか退廃的、そして美しい色彩が特徴の、現実ではちょっとありえないファンタジーな写真を中判フィルムで撮影しています。Olegは作品に必要な小物を探しに週末は終日フリーマーケットを巡っているそうです。
「奇妙で可笑しいファンタジーの世界ですが、ファンタジー側の人達から見たら、私達もかなり理解不能で不可思議な生き物なのかもしれない」という視点の変え方もまたファンタジーの楽しみ方の一つです。